« 本メモ:精神緑地化計画? | トップページ | The Soapbox »

Gracious

父方の祖母のこと。

今年、88歳になりました。とても穏やかで、かわいいひと。農家に嫁いで、4人の子どもを育て上げました。連れ添った祖父は20年以上前になくなりました。曾孫が四人います。農作業のせいでしょうか、腰が曲がっています。リウマチの病があり、身体のあちこちに痛みがあります。寝て一日を過ごすことが多くなってきました。そのせいか、認知症ではないのですが、見えないものが見えたり、夢と現実の境が曖昧になったりしています。でも、まだまだしっかりしています。内臓は元気で食欲も旺盛だそうです。

以前、両親がその祖母のところに行ったときのこと。

祖母が母に向かってしきりに謝るという。「ごめんなぁ、勘弁してけろなぁ」

あまりにも真に迫った様子なのだが、一体何のことなのか母にはよく分からない。よくよく聞いてみると父のことだという。

「ケンスケ(父)が退職金をはたいて牛を買った」と祖母は言った。

専門家でもないのに、牛なんか飼ったってうまくいくはずがない。実際に祖母宅では以前牛を飼っていたことがあるから、世話も大変で儲けにならなかったことはよく分かっている、都会に住んでるんだから飼う場所だってないだろう、それなのに大事な退職金をそんなところに使って、母が激怒したのだ、だから申し訳なくて仕方がない……

と、そういう夢を見たらしい(笑)

どうやらその夢と現実がごっちゃになったようだ。確かに父は昨年退職したのであるが、牛はどこにもいない。父はラジコンの飛行機やヘリコプターに夢中で、牛などにかけられるお金はないのだ(笑)

母はそれを聞いて笑い「おばあちゃん大丈夫よ、牛なんか買ったりしてないから」というと「そうかぁ…?」と疑わしげ。母が気を遣ったと思ったようだ。

その後も母が行く度にこっそり「ごめんしてけろなぁ」と謝っているのだそうである(笑)。

60を過ぎた息子を心配するところ、そしてお嫁さんに気を遣うところなんかが、とてもこの祖母らしくて、またいかにも田舎らしくて好きなエピソードである。祖母は農家のお嫁さんとしてそれなりの苦労をしただろうし、神経の細かく行き届く優しい人なのである。

ちなみにこの牛のエピソードにはそれなりの根拠があるんですよ。

母方の祖父(故人)が、やはり教師をしていて定年退職したときに、退職金で牛を買ったのだが、やはりあまり上手くいかなかったのだそうで。父の実家と母の実家は山一つ隣の集落ですから、それくらいの情報は難なく伝わったものと思われます。

祖母はそれを知っていて、また覚えていたのでしょう。ちょうど父の退職があって、だからそんな夢を見たのだと思います。

人間のこころの働きの、なんと不思議なことでしょうね(^ ^)

« 本メモ:精神緑地化計画? | トップページ | The Soapbox »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/303499/8049170

この記事へのトラックバック一覧です: Gracious:

« 本メモ:精神緑地化計画? | トップページ | The Soapbox »