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小鳥遊

あれこれ、のらくら、いそいそ、どきどき、ふらふら、うつらうつら。

いろいろしている間に、仙台の街には雪が降った。色づいた葉っぱの上に、すぐに溶ける雪が降った。

吹雪く牡丹雪の中で、あたしはウールのロングコートを着たり、ニットの帽子をかぶったり、偽物の裏革の手袋をしたり、ついにはファーつきのダウンジャケットまでお呼びがかかった。寒い。低気密低断熱の古い我が家は、いくら化石燃料を消費してもなかなか暖まらない。

息は完全に白く現れ、信号までもが冴えた空気の中でくっきりと或いはぼんやりと光る。冬は厳しいが、美しい。などと言うと、信州北陸北東北北海道…の人には叱られるかもしれないけど、やはりあたしは冬が嫌いではないのだなぁと改めて思う。

自分が生まれた季節がその入り口にあるからかもしれない。

そう、先日あたしは今年もまた歳をとった。あっという間だ。18からほとんど年齢というものに実感を持てずに今日に至る。

お祝いのひとつに、「カラマーゾフの兄弟」の新訳全巻を頂いた。なかなか読み進まず、また、果たしてどれだけ頭に入っているのかも分からない。おそらく物語の半分も読んでいないのだけれど、行く先に不安がよぎる。

実に見事に、あたしは身も心も大人ではないようである。春になったら、せめて錯覚でも、自覚くらいもてるかしら。

今日は慌てて秋に舞い戻ったかのように穏やかな日だった。

庭の柿ノ木や、雨樋のところで、雀が遊んでいる。ベランダに吊るされたまだ未完成の干し柿をいくつか突いているようである。こちらが少しでも物音をさせるとどこかへ飛び去ってしまうから、きちりと現場は押さえられない。非常に残念。

雀は、木から地面へ舞い降りるとき、その体重を地球の引力に預けてしまうようだった。落ちるように急降下する。翼で制動をかけるのは、地面すれすれだ。なんて素敵な生き物だろう。

鳥であることの自由や飛行の快楽に憧れるのは、浅はかで愚かで奢ったことであるが、それでもやはり、素敵だ、とあたしは呟く。

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