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ひだまりにトラヴィアータ

じゃりっとした感覚を舌に覚えて、あたしは眉をひそめた。てのひらにそれを出してみると、白くてぎざぎざしたものが現れた。先端の鋭さからいって、どうやらそれは糸切り歯。

(…抜けたのか)

大した感慨もなく、あたしはそれを見つめた。そういえば、最近なんだかぐらぐらしてたかもしんない。

子どもの頃あたしはあんまり真面目に歯みがき敢行してない子だったんだけど、どういうわけだか虫歯は作ったことがなかった。乳歯も全部自分(と家族)で処理した。だから歯医者さんに行っても歯石をキレイにしてもらうとかくらいで、世間一般の「キュイーーーン」が怖いとか、麻酔が痛いとか、そういう共通認識に預かることなどなく今日まで過ごしてきた。

が、今になって、どうやら「恐るべき」歯医者さんを頼らなくてはならないようだ。

(差し歯ってやつか)

しかもよりによって犬歯である。なんだか情けないような気持ちになる。この若さで、一体どういうわけでこうぽろりと抜けてしまったんだろうか。

ぼーっと思案していると、またじゃりじゃり、となった。

今度は、3cmくらいキレイに連なって出てきた。どうやら前歯たち、のようである。血の気が引いたのが分かった。

(…差し歯じゃすまない)

(部分入れ歯ってやつだ…!)

無意識に舌で口中を探ると、今度は左の奥歯たちが動いている。と、認識して、舌が硬直した。

あたしはてのひらにTeethをのせたまま、あわわわわ、と立ち上がった。午後の部屋は陽だまりをつくって健康的に明るくあたたかい。人気もなくて、非常に清潔な雰囲気である。

あたしは慌てて階段を駆け下りる。

その間にも、口中で歯が、ぐらぐら、そしてぽろりぽろりと、失われていくのである。

「おかあさん、おかあさん!」とあたしは叫んだつもりだった。けれど歯がないのでふがふがふがふがとちゃんと言葉にならなかった。

(なんてこと)

あたしは半べそをかいて立ち尽くした。

(総入れ歯だ!!)

…………

という夢をみました。悪夢!

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